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zoom RSS 女の勲章

<<   作成日時 : 2017/04/16 23:50   >>

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二夜連続の特別ドラマ、山崎豊子原作の『女の勲章』を見た。

古き良き時代の大阪・船場生まれのお嬢様(いとはん)の大庭式子が、戦争で何もかも失ったところから洋裁教室を立ち上げる。自身も一流のデザイナーになっていくが、その陰には、八代銀四郎という男がいた。式子の3人の弟子とも関係をもち、式子を彼の野望とともに高みへと導いていく愛憎劇。

結末は式子の自殺だった。どっちだろうと思っていた、自殺か、彼を殺すのかと。式子は誇りが高い反面、潔癖というのか、高みを目指すことに手段を選ばない銀四郎とは違って、純粋に女性として愛を求めたから、他の女たちにも手を出すような男には愛情を持てなかった。

第一夜の冒頭で、式子の幼い頃の、裕福だった船場の問屋時代が描かれていた。お妾さんを何人囲っていても不思議ではなかった大店(おおだな)の旦那、お妾さんたちから盆暮れには挨拶を受ける御寮人は威厳があった。しかし、きっと幼心に、何人も女を妾にする男には毛嫌いがあったのではないかと想像される。

式子は学校運営やデザイナーの仕事などで忙殺されていた頃に、知り合った大学教授を愛するようになる。第二夜では、何もかも捨てて教授と一緒になろうとするが銀四郎に阻まれてしまう。

銀四郎は自分がいなければ式子は式子でいられないと思い込んでいるが、彼に操られていて逃げることもできないと絶望した式子は、最後の手段で彼の手から離れようとした。

ドラマを見終わった瞬間に感じたのは、銀四郎は確かに式子に惚れぬいていたが、その愛情が歪んでいたのだと。式子への憧れ、船場の裕福なお嬢様を高みへ導くことが彼の愛情の示し方だったのかもしれない。また、その野望をかなえる彼自身にも陶酔感があったのかもしれない。自分の手腕を過信していただろうし。

式子は逆に、自立して生きていくはずが、銀四郎の手のひらで転がされ、主体的に生きていけない縛りを彼に感じて恐れたのだろうと思う。弟子の女たちを利用している彼の姿にも嫌悪があった。

彼から逃れるためだけではなかったにしろ、教授を愛し共に生きようとしたが、教授が式子が望むほどには愛にのめりこまないタイプだった。彼は過去に妻を寝取られているだけに、しかたないかもしれないが、後に銀四郎の嘘だったとわかるが、式子には多額の借金を背負わされていることを知るや、彼女から背を向けてしまう。理性的といえば理性的だが、愛だけで生きてはいけないという現実主義なのだろうか。

不器用というか野心家の自信家というのか、銀四郎はしてやったりだったかもしれないが、式子を支配することはできなかった。

もし、式子が銀四郎のように野心家だったら、恋愛関係も割り切ったものになっただろうし、逆に銀四郎を利用しながらデザイナー界でトップに君臨しようとする道もあったのではないかと思う。

銀四郎は、式子亡き後も、知り合いの新聞記者に、いかに素晴らしいデザイナーだったかをもっと報じるようにと告げる。「人の死まで利用するのか」と呆れられるが、銀四郎にとっては式子に関わる全てが式子そのもので、その誉れが愛情なんだろう。

銀四郎を演じた玉木宏さんは、朝ドラの「あさが来た」でも船場の商家の旦那さん役だったため、船場言葉が上手だった。さすが。

それにしても、ドラマ内容以上にファッションがとりどりで素晴らしかった。式子を演じる松嶋菜々子も美しかった。愛憎劇より眼福、眼福。

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